■Paradigm Shift -新しい価値観-
以前もビジネスでの考え方をサッカーに置き換えてお伝えさせていただきましたが、今回もそのシリーズです。前編と後編にわけてお届けしたいと思います。
今日は【ビジネスマンに必須な能力】について考察してみたいと思います。
いろんな能力があげられるかと思うのです、これだけ多種多様化している状況の中で重要とされる能力をあえて挙げるとするなら、一つはコミュニケーション力。そして、もう一つは状況判断力ではないかと思っています。
今回は、後者の状況判断力にフォーカスしていきたいと思います。
重要な能力である状況判断力には、判断の速さ、判断の数、判断の質があります。
いくつもの選択肢をもち、その中でももっとも効果のある方法を実行する力です。それも早い判断で。サッカーは瞬間ごとに局面が変わります。ボールが 50cm動いただけで、選択するプレーは確実に変わります。この状況判断力があったからこそ、日本は大躍進をとげたのだと思います。
もう少し踏み込んでこの状況判断力というものをお伝えするなら、先読みをする力=先見性ともいえます。優秀な企業経営者やリーダーは現状に満足することなく、常に先を見通していることでしょう。
特に古今東西問わず、ベンチャー経営者といわれる方たちはこの状況判断力がものすごく高く、そこから弾かれる時代の先読み力が今日の結果につながっています。時代背景、他国の状態、競合状況、これらを読み解き事業を推進しています。
20年前にソフトバンクの孫さんや楽天の三木谷さんがこれまでの事業に育てることを誰が想像したことでしょう。でも、当人にはきっと見えていた世界だと思います。
元日本代表の中田英寿氏はこのようにいっています。
「フィールドを上から俯瞰しながらプレーしている自分がいる」
これはサッカーの中でも最大級の状況判断力といえます。すべての選手の動きを理解することで、どこに穴があるのか、どこにパスを出すと効果的か、3 つ先のプレーはどう展開されるか、こんなことまで感じることができるのです。
これは現在の仕事に直結している事象ですので、ご紹介をさせていただきます。
先にも書きましたが、私はもともとサッカーが上手いわけではありませんでした。大学 1 年のとき、東海リーグの 1 部に上がったばかりのチームにブラジル人が監督兼コーチとなり就任した。運良く、1 年からスタメンで使ってもらうことができたわけですが、なんでスタメンで使ってもらっているか理由を確認させてもらいました。
彼の選考基準としては、ベースの技術が同じレベルなら、コミュニケーション力と状況判断力を持っているか比較して起用するとのことだったのです。実は、私自身上記の能力を身につけることでしか試合には出られないだろうなぁと思いながら特訓をしていたので、自分の特性を承認されたと喜んだものです。
そしてその大学時代のブラジル人コーチから口すっぱく言われていたキーワードがあります。それが「Discipline(ディシプリン)・Trust(トラスト)・believe(ビリーブ)」という言葉です。
Discipline(ディシプリン)・・・規律ということ
Trust(トラスト)・・・信頼、仲間を裏切るなということ
believe(ビリーブ)・・・自分を信じろということ
サッカー王国のブラジルには脈々と流れている考えかたなのでしょうか。
一口にコミュニケーションといってもなかなか難しいものですが、意思疎通を図るうえで非常に重要なキーワードだったんだと、いまになって、その本当の意味が分かります。
チームや組織として仕事やプロジェクトを遂行する上で、この基本的な考えがないとスピード感を持って取り組むことができませんし、柔軟な判断を行うには規律がないと状況判断が狂います。そして、信頼と自信がないと正確なコミュニケーションは図れないと思うのです。
ですので、事業が成功している組織体をみると、上記の要素を感じずにはいられません。
次回はコミュニケーション力について少し深掘りしてお伝えしたいと思います。
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